サービスロボットが活用されている代表的な業種〜『警備業界の動向』について
警備業務へのサービスロボットの導入の必要性は、各国の治安の状況によって変わります。日本では、夜間の見守り作業などを含む巡回や立哨を中心とした業務を行うことが求められます。警備業界の仕事内容は体力勝負という部分が多いイメージかもしれません。しかし、実際は夜勤や長時間労働などもあり、体力的な部分だけでなく気力の維持も困難です。また、警備業界の業務内容として、現金や貴金属などを扱う場合もあり、精神的なプレッシャーも大きいと言えます。海外に目をやると、テロなどの脅威への対応や、顔認識システムを搭載することによる不審者の発見などの必要性が高い国もあります。
近年、残念ながら日本国内でも凶悪犯罪が増加しています。そして、犯罪が増加しているだけではなく、犯罪の手口が多様化していることも否めません。そして、これらの犯罪に関する課題は年々深刻化している状況です。しかし、ロボットを活用することで犯罪を防止できる可能性もあります。特に近年ではAI技術の開発も進み、犯罪予防に利用できるという期待も高まってきました。また、ロボットに搭載されているカメラを利用することで、人間では見逃してしまうようなことの監視も可能です。そう考えると、警備業界はロボットを活用するという大きな変革の時期に来ているのかもしれません。
日本の警備業界では、深刻な人手不足の状態が続いており、警備員の有効求人倍率は5倍を超える状況が続いています。サービスロボットによる業務効率化が求められ、各警備会社が開発に取り組んでいます。自律移動ロボットによる巡回業務は、特に夜間であれば、周囲を歩く人が少ないため、危険のリスクが少なく、他の業務を行う自律移動ロボットに比べ、リスクの観点からは導入のハードルが低いといえます。一方、 施設内を警備する自律移動ロボットに求められるのはビル内の上下移動です。各フロアに1台警備ロボットを配備するわけにはいかないので、エレベータと連携し、複数フロアを1台で巡回することが必須の条件となります。そのため、最終的に導入を実現するためにはエレベータ会社の協力が必須の条件になります。
近年では、巡回だけではなく、金属探知機などを搭載したアームを利用し、関西空港や成田空港などでは、ごみ箱内などに不審物が投棄されていないかを調査できる警備ロボットも開発されています。また、中国では、街中で5Gの通信が可能な警備ロボットが巡回しています。高速低遅延、大容量のデータ転送が可能な5Gの特徴をかし、警備ロボットで撮影した動画像を監視員へリアルタイムに送信し、不審者を取り逃がさないような警備体制を敷いています。
警備業務は危険な仕事も多く、夜勤などで生活が不規則になってしまいます。人手不足の解消のためにもサービスロボットによる効率化が求められます。